ai use-cases by care setting

現場別・AIの使いどころ

病院のリハビリ、訪問リハ、看護小規模多機能、就労支援、地域の介護予防、事業所の経営——ひとくちに「医療・介護福祉」といっても、書く仕事・段取りの仕事は現場ごとに違います。ここでは、それぞれの現場で「AIをどこに使うと効くか」を、実際に使える形のプロンプトで紹介します。まずは基本編の10本を見てから、自分の現場のパートを探すのがおすすめです。

書いている人:ヒガラ(taskara)。作業療法士20年。回復期リハ・訪問リハ・看多機・障害福祉(就労継続支援B型/自立訓練)・行政(地域の介護予防)と、ここに並ぶ現場を実際に渡り歩いてきました。だから「その現場のあるある」から書いています。

📄 まず基本編の10本を見る →

数字で見る:AIで現場はどう変わっている?

「書く仕事」をAIに下書きさせる動きは、もう病院や施設の実例として数字が出はじめています。国も後押ししています。

約57%リハビリサマリー
作成時間の短縮
(病院での実証)
約54%退院時サマリー
作成時間の短縮
(病院導入事例)
30分→6分訪問看護の
計画書・報告書
(ツール導入事例)
最大3/4介護テクノロジー
導入の補助率
(国の支援策)

※効果は使い方・環境で変わります。数字は各施設・各社が公表した事例です。出典:PT-OT-ST.NET(リハサマリー57%短縮)OPTiM AI ホスピタル(54.2%)iBow(訪問看護 計画書・報告書)介護テクノロジー導入支援事業(補助率)

use-cases

現場別・場面プロンプト

【 】の部分をあなたの内容に書き換えて使ってください。議事録・支援記録・計画書・家族向け文書・ヒヤリハットなどの「土台になる型」は基本編の10本にあります。ここはその応用・現場別編です。

setting A

病院・回復期リハビリ

毎日の記録と、退院のたびに発生するサマリー。定型なのに時間を食う仕事をAIに下書きさせます。

記録・リハ

A-1リハビリ実施記録(SOAP)の下書き

よくある場面実施内容はほぼ決まっているのに、SOAPの形に整えるだけで1件ずつ時間がかかる。書いているうちに表現がワンパターンになる。

コピペ用プロンプト
あなたはリハビリ記録の書き方に詳しい先輩セラピストです。
以下のメモを、SOAP形式の実施記録の下書きに整えてください。

■ルール:
・O(客観的事実)とA(解釈・見立て)をはっきり分ける
・本人の発言は「〜と話される」の形で残す
・メモにないことは足さない。盛らない
・P(次回の計画)は1〜2行で具体的に
・専門的すぎる表現は避け、チームが読んで分かる言葉で

【対象:例)70代・脳梗塞後の上肢麻痺・回復期】
【今日やったこと:例)上肢の関節可動域訓練20分/かぶりシャツの更衣練習・見守りで可】
【様子・発言:例)「家に帰ったら自分で着替えたい」疲れの訴えなし】

コツ「事実と解釈を分ける」はどの記録でも通用する型。出てきた文を自分の言葉に少し直すと、自然で自分らしい記録になります。

⚠️ 個人情報の注意氏名・生年月日・具体的な病歴は入れず「70代・◯◯後」程度の要素だけで。記録システムへ転記する前に必ず自分の目で確認を。

サマリー

A-2退院時リハビリサマリーの下書き

よくある場面退院ラッシュでサマリーが溜まる。1件30〜60分。次の担当に伝わる形にまとめるのが大変。

コピペ用プロンプト
あなたはリハビリのサマリー作成に慣れた専門職です。
以下の経過の要点から、退院時リハビリサマリーの下書きを作ってください。

■構成:
①経過の要約(300字以内) ②退院時のADLの状況
③残っている課題 ④次の担当者への引き継ぎ事項(明日から動ける具体性で)
■ルール:数値は与えた情報だけを使う。推測で補わない。
不足している情報は「【要確認】」と印をつける。

【入院時→退院時の変化:例)移動 車いす見守り→歩行器で自立/更衣 全介助→見守り】
【主な経過:例)(箇条書きで)】
【退院先・今後:例)自宅/訪問リハを週2で導入予定】

コツ病院の実証では、この下書き方式でサマリー作成が約4〜6割短縮した例も。あくまで下書きとして使い、最終確認は必ず担当者が。

⚠️ 個人情報の注意カルテからの丸ごとコピペはNG(要配慮個人情報)。要素だけを、職場が認めた設定(学習に使われないAI)で扱ってください。

setting B

訪問リハ・看護小規模多機能

宛先ごとに書き分ける報告書と、通い・泊まり・訪問で分断されがちな情報共有。ここもAIが得意です。

報告書

B-1訪問リハ月次報告書(医師向け・ケアマネ向けを一度に)

よくある場面毎月の報告書が件数ぶん。しかも主治医向けとケアマネ向けで書き方を変える必要があり、二度手間になる。

コピペ用プロンプト
あなたは訪問リハビリの報告書づくりに慣れた専門職です。
同じ内容から、宛先の違う2種類の月次報告の下書きを作ってください。

①主治医向け:医学的な経過と、リハビリ継続の必要性を簡潔に
②ケアマネジャー向け:生活場面の変化と、介護サービスへの示唆を中心に
■どちらも:要点を先に。専門用語には短い補足を。事実だけを書く。

【今月の実施内容・変化の要点:例)(箇条書きで)歩行が屋内伝い歩き→杖歩行に。入浴の自立度が上がった 等】

コツ同じ材料から2つの視点で出せるのがAIの強み。「もう少し短く」「ケアマネ向けはやわらかく」など一言で調整できます。

⚠️ 個人情報の注意氏名・住所・具体的な病名は入れず、状態と変化の要素だけで。完成後は必ず自分の目で内容を確認してから提出を。

情報共有

B-2通い・泊まり・訪問をまたぐ申し送りサマリー

よくある場面看多機は通い・泊まり・訪問で記録がバラバラ。夜勤者が全部読む時間がなく、大事な申し送りが埋もれる。

コピペ用プロンプト
あなたは多機能型サービスの情報共有に詳しいベテラン職員です。
以下のバラバラの記録メモから、次の勤務者が3分で読める「申し送りサマリー」を作ってください。

■形式:
①今日いちばん大事なこと(1〜3行) ②体調・服薬で気にすること
③今夜〜明日に確認・対応すること(誰が・何を) ④その他の変化
■ルール:重要度の高い順。だらだら書かず箇条書きで。判断に迷う点は「【要相談】」と印を。

【今日の記録メモ(通い/訪問/泊まりぶんをまとめて貼る。利用者は記号化):例)】

コツ「次の人が3分で読める」と条件を付けるのがコツ。長い記録を要点に絞る作業こそAIが速いです。

⚠️ 個人情報の注意利用者は「Aさん」等の記号に。サマリーはあくまで下書きで、正式な申し送りは職場の様式・ルールに従ってください。

setting C

障害福祉(就労継続支援B型・自立訓練)

計画やモニタリングの型は基本編に。ここでは、作業療法士ならではの「目標を一緒に見つける」「作業を設計する」使い方を。

目標設定

C-1本人の一言から「意味のある目標」を一緒に探す

よくある場面「やりたいことは特にない」「別に」。ここから支援計画の目標につなげるのが、いちばん難しい。

コピペ用プロンプト
あなたは作業療法士で、本人の「その人らしい目標」を見つけるのが得意です。
本人のちょっとした一言から、面談で深めるための目標の候補を一緒に考えてください。

■出してほしいもの:
・その言葉の奥にありそうな「本人にとって大事なこと」の仮説を3つ
・それぞれについて、面談で本人に確かめたい問いかけの例を2つずつ
・小さな一歩になりそうな活動の案を1つずつ
■ルール:本人を決めつけない。あくまで面談で一緒に確かめる「たたき台」として。

【本人の発言:例)「別にやりたいことはない。強いて言えば孫にお年玉をあげたい」】

コツAIに答えを出させるのではなく「本人に聞く問いを一緒に作る」使い方。面談の引き出しが増え、計画づくりの質が上がります。

⚠️ 個人情報の注意診断名や家庭の事情は入れず、本人の言葉だけで十分。出てきた案は必ずご本人と一緒に選び直してください。

作業設計

C-2作業(軽作業・内職)の工程を見直すアイデア出し

よくある場面いつもの作業が「できる人しかできない」状態。もっと多くの利用者が関われる形にしたいが、工程を分ける発想が出てこない。

コピペ用プロンプト
あなたは作業療法の視点を持つ、就労支援の作業設計アドバイザーです。
ある作業を、いろいろな特性の利用者が関われるように工程を分ける案を出してください。

■出してほしいもの:
・作業を「小さな工程」に分解(できるだけ細かく)
・各工程に必要な力(手先・集中・立ち仕事・人との関わり 等)のめやす
・「座ってできる/短時間でできる/確認だけ担当」など、参加のハードルを下げる分け方の案
・品質を保つためのチェックの入れ方
■ルール:安全と工賃(品質)を落とさない前提で。

【作業の内容:例)お菓子の袋詰めと箱づめ。今は一人が全部やっている】
【利用者の幅:例)立ち仕事が苦手な方、集中が続きにくい方も参加させたい】

コツ「工程分解」はAIが得意な発想の広げ役。出てきた案を現場で試し、合うものだけ採り入れる使い方が安全です。

⚠️ 個人情報の注意特定の利用者名や診断は出さず「立ち仕事が苦手な方」のように特性の要素で伝えれば十分です。

setting D

地域・介護予防・行政

教室の企画、参加を集めるチラシ、行政向けの実績報告。「作る」「集める」「報告する」をAIで軽くします。

教室設計

D-1介護予防教室 全8回のプログラム設計

よくある場面「介護予防教室、立ち上げてね」と任される。全体の流れ、毎回の中身、効果の見せ方まで、ゼロから考えるのが重い。

コピペ用プロンプト
あなたは地域の介護予防に詳しい作業療法士です。
高齢者向けの連続教室のプログラム案を作ってください。

■条件:
・運動/認知/口腔・栄養/社会参加をバランスよく全回に散らす
・毎回「家でできる小さな宿題」を1つ付ける
・初回と最終回に簡単な体力・生活チェックを入れ、効果を数字で示せるようにする
・道具は最小限、公民館でできる範囲で
■出すもの:全体のねらい/各回のテーマと流れ(所要時間つき)/宿題/測定項目

【対象:例)75歳前後の元気な高齢者15名】
【回数・時間:例)全8回・各90分・月2回】

コツ「効果を数字で示せる構成に」と頼むのがポイント。次年度の継続や報告のときに、成果が説明しやすくなります。

⚠️ 個人情報の注意参加者の個別情報は入れず、対象像(年代・人数)だけで。運動の可否は、参加者ごとに専門職が現場で判断してください。

広報

D-2参加したくなる募集チラシの文章

よくある場面教室や行事の告知チラシ。「介護予防」と書くと、いちばん来てほしい元気な人ほど「まだ早い」と敬遠する。

コピペ用プロンプト
あなたは高齢者向けの広報コピーが得意なライターです。
参加者募集チラシの文章を作ってください。

■条件:
・「介護予防」という言葉を使わずに、参加したくなるキャッチコピーを5案
・本文は大きな文字でも読める分量(150字以内)
・「一人でも大丈夫」「持ち物なし」など不安をなくす一言を入れる
・申込方法はシンプルに(例:電話のみ)
■ターゲット:【例)「自分はまだ元気」と思っている70代】

【教室の内容:例)週1回・体を動かして人と話す90分の集まり】

コツコピーは5案出させて選ぶのが良い使い方。自治体でも、チラシ・ポスターづくりはAI活用がいちばん進んでいる分野です。

⚠️ 個人情報の注意参加者の写真・氏名・体験談を載せるときは必ず本人の同意を。文章づくりの段階では個人情報は不要です。

行政文書

D-3委託事業の実績報告書の下書き

よくある場面行政への実績報告は独特の書き方(である調・数字重視)。活動はしたのに、報告の文章にするのに手が止まる。

コピペ用プロンプト
あなたは行政向けの事業報告書づくりに慣れた事務担当です。
以下の活動記録から、実績報告書の下書きを作ってください。

■文体:「である調」。客観的・簡潔に。感想や主観は控えめに。
■構成:①事業の概要 ②実施状況(回数・参加人数などの数字を前に出す)
③成果(できるだけ定量的に。数字がなければ具体的な変化で)
④課題と次年度への提案
■ルール:与えた事実だけで書く。数字を作らない。不明点は【要確認】と印を。

【活動の記録:例)介護予防教室 全8回/延べ参加◯名/体力測定で歩行速度が平均◯%改善 等】

コツ「数字を前に出す」「である調」と指定すると、行政文書らしいトーンになります。様式の項目名を貼れば、それに沿って埋めてくれます。

⚠️ 個人情報の注意参加者個人が特定できる記述は避け、延べ人数・平均値などの集計値で。提出前に必ず担当課の様式・要領で確認を。

setting E

事業所の経営・採用・発信

管理者・経営者の「人を集める」「外に伝える」仕事。ここもAIで下書きの時間を大きく減らせます。

採用

E-1求人票の下書き(人が集まる書き方)

よくある場面求人を出しても応募が来ない。他と同じような文面になってしまい、うちの良さが伝わらない。

コピペ用プロンプト
あなたは福祉・介護分野の採用に詳しいライターです。
求人票の本文の下書きを作ってください。

■条件:
・「やりがい搾取」に見える精神論は避け、具体的な良さを事実で書く
・1日の仕事の流れを時間つきで入れて、働くイメージが湧くように
・未経験・異業種からの人にも伝わる言葉で
・最後に「こんな人に来てほしい」を3つ
■事業所の強み:【例)残業は月5時間以下/資格取得を支援/少人数でアットホーム】
■募集職種と対象:【例)就労継続支援B型の支援員/介護から福祉に移りたい30〜40代】

コツ「1日の流れ」を入れるだけで応募のイメージが湧きます。強みは飾らず事実で。トーンは「もっとやわらかく」等で調整できます。

⚠️ 個人情報の注意実在の職員名は入れないこと。給与・待遇は必ず自事業所の正確な条件に置き換えてから公開してください。

発信

E-2事業所だより・SNS投稿文の下書き

よくある場面「たよりを毎月」「SNSも」と言われるが、ネタ出しと文章づくりが続かない。写真はあるのに言葉が出てこない。

コピペ用プロンプト
あなたは福祉事業所の広報・SNS運用が得意な人です。
今月の出来事から、事業所だよりの記事とSNS投稿文の下書きを作ってください。

■作るもの:
①事業所だより用の短い記事(200字前後・あたたかい語り口)
②SNS投稿文(3案・それぞれ2〜3行+ハッシュタグ案)
■ルール:利用者が特定される表現は使わない。誇張しない。読み手が「いいな」と思える等身大のトーンで。

【今月の出来事:例)畑で育てた野菜を収穫。みんなで豚汁にして食べた。天気が良く笑顔が多かった】

コツ写真の場面を一言メモで渡すだけでOK。1つの出来事から「たより用」「SNS用」を一度に出せるので、発信が続きます。

⚠️ 個人情報の注意利用者の顔・氏名を出す投稿は必ず本人・家族の同意を得てから。文章の下書き段階では個人情報は入れないでください。

「うちの現場だと、どう使う?」

ここにあるのは型です。あなたの事業所の様式・業務・現場に合わせたプロンプトづくりや、職場へのAI導入・ルールづくりのご相談は、現場の言葉で一緒に考えます。長野を中心に、オンラインでも。

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